展覧会
テッド・クラハラ ― 抽象絵画70年の軌跡
Hosted by The Nippon Club
Organized by CAROLE DAVENPORT JAPANESE ARTS OF NEW YORK
Photo Caption:
The 36 by 36 CERULEAN TINTS, ACRYLIC ON CANVAS
CADMIUM RED MEDIUM AND DEEP, 36 BY 36, acrylic on canvas, 2015.
97歳の日系アメリカ人アーティストのテッド・クラハラ氏は、色面を無限の奥行きに変えるミニマルなスタイルの作品で知られています。
クラハラ氏は、1925年7月16日にワシントン州シアトルで生まれました。第二次世界大戦が始まり、1941年に真珠湾が爆撃されると、まもなくしてフランクリン・ルーズベルト大統領による特別行政指令9066号が発令され、一家は経営していたホテルを始め全てを没収されて、他の日系人と共にアイダホ州のミニドカ強制収容所に送られました。1944年18歳になるとアメリカ軍に志願をし、日系アメリカ人で構成される第442連隊戦闘団にて戦地に赴きました。この戦闘団は、第二次世界大戦時に米国陸軍で編成された日系アメリカ人部隊で、ハワイ諸島の日系人と米国本土の強制収容所内の日系人志願兵で構成されました。欧州戦線で枢軸軍相手に激闘を繰り広げ、のべ死傷率は314%に達しました。米国史上もっとも多くの勲章を受けた部隊として知られています。同時に太平洋戦線では陸軍諜報部(MIS)に所属した二世兵士が英、日バイリンガルを生かして活躍、戦後は通訳などを務め、日本復興に貢献を果たしました。
終戦後、1947年に除隊した後、子供の頃から得意だったアートを勉強するためにワシントン州立大学に入り、美術学士号を取得。その後、イリノイ州ピオリアに移り、ブラッドリー大学大学院で美術修士号を取得しました。その後、クラハラ氏は1953年から1956年までイリノイ州で教職に就き、その後アイオワ州立大学で教職に就きました。1958年に、アート・イン・アメリカの「アメリカのニュー・タレント」招待展でメダルを受賞するなど、アーティストとしても輝かしいスタートを切りました。この地域で数少ないアジア人アーティストの一人として、エネルギッシュなモノクローム抽象画は、現代アメリカの抽象化と伝統的な日本のマークメイキングを融合させたものとして称賛されました。
更に深くアートを追求したいという願望が強くなり、1959年に妻でアーティストのジョーン・ヴェナム、そして家族と共に、イリノイ州での地位を捨てニューヨークに居を移し、多くのアーティストが住むニューヨークのアートシーンに没頭し始めました。すぐに東海岸で最も初期のアジア系アメリカ人のギャラリー、ミチョウギャラリーとの関係を築き、1965年に彼らの展覧会に参加し、後にアメリカ芸術連盟とツアーを行いました。1981年の一連の白い絵画の後、現在知られている単色のシンプルで静かで謎めいたブロックを開発しました。これらの作品は、無数の層が深さと主題のすべての概念を否定し、黄金比、ヨーロッパの絵画の伝統、俳句など、さまざまなインスピレーションにより制作されています。
クラハラ氏は1960年代後半にハンティントンギャラリー、1978年にサラトガスプリングスのヤド研究所、そして、1979年にワシントン大学フォード財団客員芸術家プログラムでレジデンシーを取得しました。1984年にグッゲンハイムフェローシップを授与され、1985年に全米芸術基金フェローシップを授与され、1年間のサバティカルを取得することができました。
その間、クラハラ氏は頻繁にニューヨークと全米、そしてスウェーデン、フランス、イタリア、デンマーク、さらにはミュンヘン、ドイツ、オーストラリアまで、世界中の多くの都市で展覧会を開催しました。同時に、ニューヨークでは、プラット・インスティチュート、ニューヨーク大学、ブルックリン大学なで美術を教え続け、ニューヨーク市のアートコンサルタントとしての仕事に就くなど、精力的に活動を続けました。
クラハラ氏は、芸術家として輝かしい業績を上げ、世界中で賞賛され、作品はよく売れました。しかし2008年のリーマンショック、その後のコロナ禍、妻の死。初めてアーティストとして停滞感を感じました。しかしながら、現在は再び気持ちを持ち直し絵画の制作を続けています。日本ギャラリーでの展覧会は彼にとってのリニューアルです。展覧会では、2010年から現在までのクラハラ氏の冬眠時代の作品を中心に、近作を紹介する予定です。
会期 | 2023年5月12日(金)- 5月25日(木) |
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開催時間 | 10:00 am - 6:00 pm (月-金) / 10:00 am – 5:00 pm (土) / 日休 |
場所 | 日本ギャラリー (日本クラブ 7階) 145 West 57th Street, 7th Floor, New York, NY 10019 |
入館料 | 入場無料 |
詳細 | CAROLE DAVENPORT JAPANESE ARTS OF NEW YORK 646-249-8500 carole@caroledavenport.com caroledavenport.com 日本ギャラリー gallery@nipponclub.org www.nipponclub.org |