日本クラブWEBギャラリー企画展
日本の文化・経済を育む森の宝「木」
-小田原箱根地域の森の循環型取り組み-展
バーチャル・オープニング・レセプション
日本には、西暦711年頃創建された現存する世界最古の木造建築物である法隆寺が、奈良県斑鳩町にあります。そして、1300年余りの時を超えた2019年11月、東京・神宮外苑に建築家の隈研吾氏による、木材を多用した東京オリンピック競技場が完成し、世界から注目を浴びました。隈氏は、「今後、森林を手入れして得た木材を建築に使う『木の時代』に変えていくことは、人間と地球をつないでサスティナブルな世の中にしていくのにふさわしい」と語りました。
日本は国土面積の67%を森林が占める世界有数の森林大国ですが、木材の7−8割は外国からの輸入に頼ってきました。安価で大量のロットで安定的に供給できる外材の輸入が本格的になり、1980年をピークに国産材の価格は落ちこみ日本の林業経営は採算が取れず、後継者不足、高齢化、限界集落と呼ばれる問題まで発展していきます。しかし、輸入木材は価格高騰が続き1996年をピークに減少します。一方、日本の木材供給量は増加に向かい2002年には18.8%だった自給率が2017年には36.1%まで上昇します。国産材を利用するメリットは経済面だけではなく、山林を整然と維持管理することで洪水や土砂災害の防止にもつながります。森林は二酸化炭素を吸収して酸素を出すので、近年問題視される環境保護問題にも大きく関与し、更にその市場の活性化は雇用創生の場にもなります。また、森林は、伐採してもその後に植林して適切に管理すれば次世代に残すことができる持続可能な資源で、高齢な木よりも若い木の方が成長が盛んなため、温室効果ガスのCO2をより多く吸収することから森林の世代交代は地球温暖化防止になります。
こうした背景から政府は国産木材の活用に力を入れ、2009年に「森林・林業再生プラン」を策定し、木材自給率を50%以上にする大きな目標を掲げました。2020年に入っても目標には至っていませんが、今後もさまざまな対策を講じると言われています。木材自給率50%を目指して頑張っているのは政府だけではなく、全国の自治体やメーカーも経済対策・災害防止・雇用創生のためにさまざまな取り組みを実施しています。
本展では、全国の中から神奈川県小田原・箱根にスポットを当て、森林組合、木材業共同組合、(社)箱根物産連合が一体となり取り組んでいる、間伐材利用から地域活性化につながる「循環型事業活動」をご紹介いたします。
本展で主に作品を紹介する制作工房 「ラ・ルース」は、小田原・箱根産の間伐材による商品開発と製品を作るとかならずでる未利用材を余すことなく使い付加価値のある工芸品に仕上げています。山から出た木材を、どこまでもリユース(木材乾燥の予熱と木屑や、工芸品を作った後に出る端材からアロマオイルを作る)し、リサイクル(木クズを牛の寝床にした後、肥料にする)するなど、「木の持つ良さを気持ちの良さに」をモットーに、自然の恩恵を余すことなく活用してその自然にお返しをすることを目指し、木の持つ多彩な表現を活かしたデザインで、暮らしを提案しています。1枚の板から器が生まれる驚きの技術と美しい造形を持つ「ひきよせ」という独自の製法による作品を展開しています。その他、地元の間伐材などにより制作した郵便ポストなどの作品、小田原・箱根の伝統工芸品の寄せ木細工と小田原漆器などをご紹介します。
主催:日本クラブ
協賛:J.C.C. Fund (ニューヨーク日本商工会議所基金)
協力:関彰商事株式会社
ゲストキュレーター:津延美衣
バーチャル・オープニング・レセプション
写真左から、佐藤健氏、高木大輔氏、相田秀和氏、箱根湯本芸能組合の杏氏、茶々氏
参加費: 無料
(任意で「フロントワーカーたちへのお弁当プログラム」への寄付)
まず、建築家の隈研吾氏にお話を伺います。その後、森を作るお話を小田原森林組合の佐藤健(たけし)氏に、木を加工するお話しを竹広林業株式会社代表の高木大輔氏に、またラ・ルース代表の相田秀和氏に、無駄なく木を利用されているお話を生出演を頂き伺います。エンターテイメントは、箱根湯本芸能組合の芸者さんたちによる舞をお楽しみいただきます。杏氏、茶々氏にはライブでご出演頂きます。
(先着500名様まで)
【お問い合わせ】 gallery@nipponclub.org